ギターを始めた直後にいちばん危ないのは、「最初から曲を通して弾こうとすること」です。
もちろん、好きな曲を弾きたいからギターを買ったはずです。そこはめちゃくちゃ大事です。ただ、買った初日にいきなり1曲コピーしようとすると、指は痛い、コードは鳴らない、右手のリズムは止まる、音量も気になる、という壁が一気に来ます。
複数の実例を整理すると、共通して「最初の1ヶ月は、曲を完成させる期間ではなく、ギターに触る生活を作る期間」と考えるのがよさそうでした。
この記事では、エレキギター初心者を中心に、アコギから始める人にも使える1ヶ月メニューに落とします。
最初の1ヶ月のゴール
1ヶ月後のゴールは、すごい演奏ではありません。次の3つができればかなり順調です。
| ゴール | できる状態 |
|---|---|
| 毎日ギターを触れる | 5分でもケースから出して音を出せる |
| 指が動く準備ができる | クロマチック練習をゆっくり弾ける |
| 簡単なコード進行で音楽っぽくなる | A、D、G、Emなどを使ってストロークできる |
ここで大事なのは、「弾けたか」より「止まった理由が分かるか」です。
音が鳴らないなら、指が寝て隣の弦に触れているのか。コードチェンジが遅れるなら、左手より先に右手のストロークが止まっているのか。アコギがつらいなら、弦の硬さや音量の問題なのか。
原因が見えると、練習はかなり楽になります。
1週目: クロマチックで指を起こす
最初の1週間は、曲よりも「指の準備」です。
クロマチック練習では、1フレットから4フレットまでを人差し指、中指、薬指、小指で順番に押さえ、6弦から1弦へ移動していきます。地味ですが、初心者に必要なものが詰まっています。
| 練習 | やること |
|---|---|
| 左手 | 1フレットずつ、指を立てて押さえる |
| 右手 | ダウン、アップを交互に弾く |
| テンポ | メトロノームをかなり遅くする |
| 時間 | 1日5分で十分 |
最初は小指がほぼ言うことを聞きません。薬指と小指が一緒に動いたり、押さえた指がフレットから遠く離れたりします。それで普通です。
ここでスピードを上げると、手だけがバタついて、音が濁ります。最初の1週間は「速く弾く」ではなく、「ブーンと鳴らない音を1つずつ出す」が目的です。
おすすめ
クリップチューナーと薄めのピック
チューニングがずれたまま練習すると、押さえ方が合っていても気持ち悪く聞こえます。薄めのピックは力みを減らしやすく、最初のストローク練習に向いています。
2週目: ローコードとストロークを分けて練習する
2週目はコードに入ります。ただし、いきなり曲を通すより、コードと右手を分けます。
ローコード練習では、A、D、G、Emなどの押さえ方と、基本ストロークが扱われています。ここで初心者が止まりやすいのは、コードを押さえた瞬間ではなく、コードを変える瞬間です。
たとえば、AからDへ移るときに左手が遅れる。すると右手も止まる。右手が止まるとリズムが消える。結果として、音楽っぽさが一気になくなります。
なので2週目は、こう分けます。
| 練習 | 目的 |
|---|---|
| 1本ずつ鳴らす | 指が隣の弦に触れていないか確認する |
| コードチェンジだけ | 左手の形を覚える |
| 右手だけ空振り | リズムを止めない感覚を作る |
| 2コードだけで弾く | A→Dなど、少ない移動に絞る |
コードが完璧に鳴るまで次へ進めない、と思わなくていいです。最初は少し濁っていても、右手のリズムを止めないほうが大事な場面があります。
ただし、毎回1回は「1弦ずつ鳴らしてチェック」を入れてください。鳴らない弦があるなら、指の角度を直します。ここを飛ばすと、雑なフォームがそのまま固まります。
3週目: 2コードから曲っぽくする
3週目は、短いコード進行を曲っぽくします。
おすすめは、2コードか4コードまでです。A→D、G→Em、A→D→G→Emのように、少ない組み合わせで十分です。
ここでやることは、難しい曲の再現ではありません。「右手を止めずに、左手が追いつく範囲で弾く」ことです。
| うまくいかない症状 | 直し方 |
|---|---|
| コードチェンジで止まる | テンポを半分にする |
| 音が詰まる | 押さえたあと1本ずつ鳴らす |
| 右手が分からなくなる | 左手をミュートして右手だけ振る |
| 指先が痛い | 休む。痛みを我慢して長時間やらない |
初心者がやりがちなのは、「昨日より長く練習しなきゃ」と思うことです。でも、指先や手首が痛い状態で続けると、翌日ギターを触りたくなくなります。
最初の1ヶ月は、毎日15分で十分です。むしろ15分で切り上げて、「もう少し弾きたい」くらいで終えるほうが続きます。
4週目: アコギかエレキかを練習環境で見直す
ギター選びでは、アコギとエレキの違いがかなり大事でした。
アコギは1台で完結しやすく、弾き語りやソロで音楽を作る感覚が強いです。ただし、弦が硬めで、音量も大きくなりやすい。夜に練習しづらい人や、指の痛みで止まりやすい人には負担になります。
エレキはアンプやシールドなど周辺機材が必要ですが、弦が柔らかく、音量調整やヘッドホン練習がしやすいです。マンションや夜練習が多い人には、むしろ続けやすい選択になります。
| 状況 | 向きやすい選択 |
|---|---|
| 夜に練習したい | エレキギター |
| 弾き語りをしたい | アコースティックギター |
| 指の痛みで挫折しそう | エレキギター |
| 1台だけで始めたい | アコースティックギター |
| ヘッドホンで練習したい | エレキギター |
どちらが正解というより、「毎日触れるほう」が正解です。
すでにアコギを買っていて指が痛いなら、弦を細めにする、弦高を楽器店で見てもらう、練習時間を短くする、という対策があります。エレキを買ったけど機材が面倒なら、最初はミニアンプやヘッドホン対応の小さい環境で十分です。
最初に買うもの、まだ買わなくていいもの
最初に必要なのは、演奏が始められる最低限です。
| 必要度 | もの | 理由 |
|---|---|---|
| 高 | チューナー | 毎回の音合わせに必要 |
| 高 | ピック | ストローク練習で使う |
| 高 | スタンド | 出しっぱなしにして練習開始の抵抗を下げる |
| 中 | 予備弦 | 切れたときに練習が止まらない |
| 中 | メトロノーム | スマホアプリでもOK |
| 低 | エフェクター | 1ヶ月目はまだ急がなくていい |
ギターは「片付けたら負け」になりやすい楽器です。ケースにしまうと、練習開始までの心理的な距離が伸びます。スタンドに置いて、手を伸ばしたら触れる状態にするほうが、初心者には効きます。
逆に、エフェクターや高いアンプは急がなくていいです。最初の1ヶ月で必要なのは、いい音作りより、正しい音が鳴るフォームと、毎日触る流れです。
1ヶ月メニュー
| 週 | 目標 | 練習内容 |
|---|---|---|
| 1週目 | 指を起こす | クロマチック5分、チューニング、ゆっくりピッキング |
| 2週目 | コードを鳴らす | A、D、G、Emなどを1本ずつ確認 |
| 3週目 | リズムを止めない | 2コードでストローク、右手だけの空振り練習 |
| 4週目 | 1フレーズ残す | 録音して、止まる場所を1つだけ直す |
このメニューは、全部できなくても大丈夫です。大事なのは、毎日少しでもギターに戻れることです。
今日やること
今日やることは1つだけです。
ギターをチューニングして、6弦1フレットから4フレットまで、ゆっくり4音だけ弾いてください。できたら、5弦でも同じことをします。
それで初日は合格です。
最初の1ヶ月は、才能を証明する期間ではありません。ギターを生活の中に置いて、「触れば少し進む」と体に覚えさせる期間です。そこまで作れたら、次の1ヶ月で曲に入れます。
参考にした視点
- 【エレキギター基礎練習】クロマチック実演(1〜12フレット): 1フレットずつ指を立てて押さえるクロマチック練習、弦移動、オルタネイトピッキングの考え方を参考にしました。
- 【ギターコード編】ローコードを練習しよう!基本ストロークパターンを演奏動画で解説: A、D、G、Emなどのローコード、コードチェンジ、空振りを含むストローク練習を参考にしました。
- アコギ vs エレキギター:どっちから始めるべき?: アコギとエレキの音量、弦の押さえやすさ、練習環境、挫折しやすいポイントの比較を参考にしました。